現状、RPAを導入している企業は少数派
RPAの利用は徐々に広がりつつあるものの、ITリサーチ企業の「ガードナー ジャパン」が2017年5月に調査し、10月に発表した「RPAに関する調査結果」によると、導入済みの企業はわずか14%にとどまっていることが分かりました。
しかしながら、大企業ほどRPAの導入意欲が高い傾向がみられます。その理由についてみていくことにしましょう。

従業員数が増えるほど、RPAの導入に意欲を示す
中堅・中小市場のリサーチおよびコンサルティングを展開する「ノークリサーチ」は、2018年4月に「2018年版 DX時代に向けた中堅・中小ITソリューション投資動向レポート」を発表しました。
参考:ノークリサーチ
http://www.norkresearch.co.jp/index.html
同レポート内の「中堅・中小企業におけるデータ処理の自動化、およびRPA関連ソリューション投資動向」には、「PC操作内容の記録による自動化の導入予定割合」の調査結果が掲載されています。なお、PC操作の自動化には、RPAの導入も含まれます。
同調査は、年商500億円未満の中堅・中小企業700社を対象として実施されましたが、その調査結果を参照すると、企業の従業員数が多くなるほど、PC操作自動化の導入を予定している割合が高くなる結果となりました。
20人未満の企業では、PC操作自動化の導入を予定している企業は12.5%にとどまりましたが、500人以上1000人未満の企業では36.7%に達しました。
それでは、なぜ大企業ほど、PC操作の自動化、つまりRPAの導入に積極的と言えるのでしょうか。その理由について考察していくことにしましょう。
大企業は事務作業の量が多く、改善が必須の状況
RPAの導入意欲が大企業ほど高い理由としては、事務作業量の多さがあげられます。
大企業の場合、本社のみならず、各支店においても事務作業が行われていますが、企業の規模が大きく、支店の数が非常に多ければ、本社で支店から集めたデータを集計する場合、作業量が膨大なものとなってしまいます。
大量のデータを集計している場合、集計結果に誤りがあることが分かると、ミスのある場所を探すだけでも時間がかかり、作業に遅れが生じてしまうことにもなりかねません。
その点、RPAは定型的な業務を迅速かつ正確に処理することができるため、集計するデータの量が膨大であったとしても、ミスなく正確に処理することが可能となります。そのうえ、作業が正確であるため、確認する手間も省くことができます。
大量の作業を処理しても、ミスが発生することのないRPAは、大企業にとって必要不可欠なツールであると言えるでしょう。
大企業ほど、経費削減効果が期待しやすい
そのほか、大企業がRPAの導入に意欲的な理由としては、経費削減効果が期待しやすいことがあげられます。
先ほど、大企業の事務作業量は非常に多いことについて説明しましたが、事務作業量が多ければ多いほど、それだけ人手がかかることとなります。つまり、その分人件費がかさむことにつながるのです。
しかし、事務作業の多くをRPAが処理できるようになれば、事務作業は必要最小限の人員で処理できるようになることから、人件費を抑えることが可能となります。
また、企業によっては、主力となる部署の人員が不足していることもありますが、余剰となった人員を人員不足の部署に配置転換することによって、より合理的な企業運営が実現しやすくなることでしょう。
経費を削減して利益を確保することは、企業運営における基本と言えますが、RPAを導入することによって、経費の削減と利益の確保が期待されます。
大企業がRPAの導入に意欲的であることについて説明してきましたが、大企業ほど、RPAの導入に対する費用対効果が高いことが理解できたのではないでしょうか。作業の効率化を高め、働き方改革を実現するためは、RPAの導入が効果的と言えそうです。
(画像はぱくたそより)