RPAの導入で、確実な成果は得られる?
RPAは事務的な作業の効率化に最適であることから、大手企業を中心として徐々に導入が進みつつあります。しかし、新たなシステムが導入される際には、そのシステムが正常に作動し、確実な成果が得られるのかと、懐疑的な見方をされてしまうことがあるものです。
果たしてRPAは日本で広まっていくのでしょうか。RPAの普及について考察していきます。

過去には、「OA」や「BPR」が導入されたことも
RPAの普及について懐疑的な見方をされる理由としては、かつて、業務の自動化を実現するために、OA(オフィス・オートメーション)やBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が導入されたものの、思うように自動化が進まず、失敗してしまうケースがあったためです。
はじめに、OAについて説明すると「事務作業の自動化」を指します。
OAという言葉が利用され始めたのは1970年代後半のことですが、OAという言葉は、それまで手作業で行われていた文書の作成や保存を、ワープロやコピー機を利用することによって自動化することを指していました。
また、BPRとは、業務のプロセスを再構築することを指しますが、単にプロセスを再構築するのではなく、IT機器を活用しながらプロセスの再構築を図ることを指します。なお、BPRが利用され始めたのは、1990年代のことです。
過剰な期待を寄せてしまうと、その反動で失望も
OAもBPRも、それらを導入することによって業務の改善と効率化が期待されていました。しかしながら、OAやBPRを導入しても、必ずしも業務効率には結びつかず、失敗してしまったこともあるのです。
その理由としてあげられることは、新たなシステムに対し、過剰な期待を寄せていたことがあげられます。
例えば、OAの場合は、「OA機器を導入することによって業務が自動化される」ということがうたい文句で、ワープロやコピー機は利便性の高い機器とみなされました。
しかし、これらの機器は、書く作業や印刷する作業を自動化しただけであり、事務作業全体が効率化されたわけではなかったのです。
また、BPRを活用する場合は、自社の問題点を事前に把握し、その問題を解決するためにBPRをどのように活用するか、という視点を持つと、BPRの導入による業務の大幅な改善が期待されます。
しかし、BPRの有用性だけを鵜呑みにしてしまい、自社の問題点や問題解決の方法を事前に考慮していなければ、BPRの実施においてIT機器を導入したことが単なる無駄となり、業務の改善が失敗することにもなりかねないのです。
RPAは小規模に導入し、徐々に拡大していくことが基本
ここまで、OAとBPRを導入しても失敗につながりかねないことについてみてきましたが、RPAのような新たなシステムを導入する場合、せっかく導入しても失敗につながってしまうことが十分に考えられます。
RPAを活用して業務改善を成功させるためのポイントとしては、自社の問題点を把握したうえで、小規模にRPAを導入し始めることと言えます。
企業の経営者の中には、「RPAの導入で業務の効率化が期待できることから、早急に全社的に展開したい」と考える人がいるかもしれませんが、RPAの導入においては、そのような考え方は失敗の原因につながりやすくなってしまいます。
なぜなら、RPAを全社内に一括導入してしまうと、RPAの活用方法を理解していない状態でRPAを導入することにつながりやすく、RPAが誤作動を起こす原因を作ってしまう可能性があるためです。
そのような状態を防ぐためには、全社的に導入する前に、試験的に一つの部署にのみRPAを導入し、RPAが確実に作動しているかどうかを確認しておく必要があります。もし、問題点が見つかった場合は、全社的に導入する前に、問題が発生しないように対策することもできます。
RPAの導入を成功させるためには、RPAを利用する社員がRPAの特質を理解し、RPAの利用方法を熟知しておくことが必要でしょう。
日本では、少子高齢化による労働力不足が懸念されていますが、むしろそのような状況は、RPAを導入するまたとないチャンスと言えます。RPAを導入する際に失敗を防ぐためには、RPAに対する理解を事前に深めておくことが大切です。
(画像はぱくたそより)