RPAを導入するとメリットを得られるが、なぜ慎重に?
RPAはロボットが業務を処理することから、導入することによって業務の効率化が期待できます。しかしながら、中にはRPAの導入に慎重な姿勢を見せる企業もあるのです。
導入することによってメリットが得られやすいRPAですが、なぜ導入に対して慎重になってしまうのでしょうか。その理由について詳しくみていくことにしましょう。

従業員の理解が得られにくい
企業がRPAの導入に対して慎重になる理由としては、従業員の理解が得られにくいことがあげられます。
RPAの特徴は、事務的な作業をロボットが処理し、それによって業務の効率化が見込めることです。
経営者の立場から見た場合、RPAの導入によって大きなメリットを得ることができますが、従業員の立場から見ると、ロボットが業務を処理すると言うことが人員の削減につながるのではないか、と不安に感じてしまうことがあります。
従業員にとって、現在処理している業務がRPAに取って代わることは、自分の業務がなくなってしまうことを意味するために、RPAの導入に対して反対することがあるかもしれません。
このような事態を防ぐためには、従業員に対してRPAを導入する理由を明確に説明する必要があります。
例えば、「RPAを導入する理由は、従業員から仕事を奪うのではなく、単純な作業をRPAに任せて創造性の高い業務に専念してもらうためである」と説明すれば、従業員もRPAの導入について納得するのではないでしょうか。
本当に効率的かどうかが疑問
また、RPAの導入に慎重になる理由としては、「本当に効率的かどうかが疑問」ということがあげられます。RPAに対して効率性を期待しにくい理由としては、突発的な不具合の発生があります。
RPAは人間が定めたルールに基づいて業務を処理していきますが、業務の処理中に例外的な事例が発生することがあります。そのような場合は、RPAが業務を処理できず、RPAの処理がストップしてしまうこともあるのです。
先ほど、RPAは人間が定めたルールに基づいて業務を処理すると説明しましたが、仮にルールそのものに誤りがある場合、RPAとしては正しいルールにのっとって業務を処理しているため、結果として業務を誤ったまま処理し続けることもありえます。
上記のようなトラブルを防ぐためには、RPAが正しく業務を処理できるように、ルールを定める人間がRPAに対してルールを正しく認識させることが重要となります。試験的なRPAの導入も活用しながら、RPAが誤動作を起こさないように対策を講じておくことが大切です。
導入費用が高額になる場合も
そのほか、RPAの導入に慎重になる理由としては、費用が高額ということがあげられます。
ロボットをデスクトップ内で作動させるデスクトップ型のRPAは価格が低めに設定されている反面、ロボットがサーバー内で作動し、複数のロボットを管理するサーバー型RPAは価格が高めに設定されています。
日経クロステックのサイトによると、20万円台で利用できるRPAもあれば、年間のライセンス費用が1000万円を超えるRPAもあり、その価格帯はまさに多様と言えます。
RPAの導入費用が年間数十万円から100万円前後であれば、RPAを導入するハードルは低めと言えますが、RPAの導入費用が年間で1000万円を超える場合、導入に対する費用対効果が十分に期待できるかどうか、という点が懸念材料になるかもしれません。
そのため、RPAの導入コストとRPAの導入によるコストの削減額をあらかじめ比較しておくことがポイントとなります。
規模の大きな企業であれば、RPAの導入コストが高額でも、RPA導入によるコスト削減額の方が上回る場合もあります。費用を削減する効果が期待できそうであれば、RPAの導入を検討すると良いでしょう。
RPAのような新しいサービスを導入する場合、導入効果が十分に期待できるかどうか、という点を不安視するかもしれませんが、RPAを導入するメリットが期待できるならば、不安材料を解決しながら導入を目指すことが賢い方法と言えるのではないでしょうか。
(画像は写真ACより)