日本の労働生産性は、世界的にみると低い傾向
日本は、世界的にみると「先進国」に分類されますが、日本の労働生産性についてみてみると、世界の中では低い傾向となっています。その要因としては、日本における労働時間の長さがあげられます。
日本の持続的な発展を実現させるためにも、長時間労働の改善や労働生産性の向上に早急に取り組むべきですが、これらの問題を解決するための手法としては、RPAの導入があげられます。RPAの導入と労働生産性向上の関係についてみていくことにしましょう。

日本の労働生産性の現状について
はじめに、日本の労働生産性の現状を確認しておきます。
公益財団法人日本生産性本部が2017年12月に発表した「労働生産性の国際比較」によると、日本の時間当たり労働生産性は46.0ドル、日本の1人当たり労働生産性は8万1777ドルとなりました。
時間当たり労働生産性は、OECDに加盟する35カ国中20位、先進7カ国でみた場合、最下位となっています。また、1人当たり労働生産性はOECDに加盟する35カ国中21位となっています。
参考:公益財団法人日本生産性本部 労働生産性の国際比較
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/
上記の調査結果より、日本の労働生産性は、世界的にみた場合低い状況であることがわかります。
なお、労働生産性は以下の式で算出されます。
・時間当たり労働生産性:(付加価値の総額÷労働時間の合計)
・1人当たり労働生産性:(付加価値の総額÷労働者数)
つまり、労働生産性を高めるためには、付加価値の総額を増やすか、もしくは、労働時間を短縮する必要があります。この両方が実現すれば、より一層労働生産性を高められることでしょう。
労働生産性を高める2つの条件は、RPAを導入することで実現しやすくなるのです。その理由についてみていくことにしましょう。
事務作業の多くをRPAが処理 労働時間削減へ
RPAを導入するメリットは、人手によって行われていた事務作業を、RPAが処理できる点です。
これまでは、計算処理やデータ分析など、単純な作業についてはIT化でカバーできました。しかし、複数の段階を経て処理する必要がある事務作業については、自動化が困難であったため、人手によって処理されてきました。
例えば、各取引先から販売報告のデータを受け取った場合、取引先によってフォームがまちまちであるため、自社のExcel画面に入力する場合は、人手によって販売報告の内容を確認したうえで、入力作業を行う必要があります。
しかし、上記の作業においてRPAを利用できれば、RPAが販売報告のデータを自動で読み取り、その内容をExcelに自動転記できるようになります。つまり、複雑な事務作業であっても、RPAに処理方法を習得させることで作業の自動化が期待できるのです。
しかも、RPAは昼夜を問わず作業を処理することが可能なので、業務の効率化が見込めるようになります。
このことから、RPAの導入によって労働時間の削減が見込めるため、労働生産性の向上が期待されるのです。
人間は創造的な業務に専念 付加価値額向上へ
また、RPAを導入することで、事務的な作業をRPAに任せることが可能となりますが、このことは、創造的な業務に専念できることにもつながります。
例えば、ある社員が商品開発に携わっている場合、可能な限り商品開発に専念したいところですが、社内で業務を行う以上、何らかの事務的な作業が発生することがあります。場合によっては、事務的な作業が原因で商品開発の業務に専念できないこともあるでしょう。
しかし、RPAを導入して事務作業の多くをRPAに任せることができれば、事務作業にあてる時間が少なくなり、商品開発に専念することが可能となります。質の高い商品を開発することができれば、企業の業績アップが期待されることから、付加価値額の向上につなげることができるのです。
これらの内容から、RPAを導入することによって、労働生産性の向上につながることが理解できたのではないでしょうか。
これからの日本においては、少子高齢化と労働人口の減少が見込まれていますが、RPAを導入することによって、それらの問題を解決することが期待されます。働きやすい環境を維持するためにも、RPAを積極的に取り入れたいところです。
(画像は写真ACより)