RPA導入の計画を立ててこそ、導入がスムーズに
業務の効率化が期待できるRPAを導入する企業が増えていますが、中には「これからRPAを導入したい」と考えている企業もあることでしょう。
「作業は段取り八分」という言葉にもあるとおり、RPAをスムーズに導入するためには、RPAの導入に向けて計画を立てる必要があります。今回は、RPA導入の下準備である「全体計画」について詳しくみていくことにしましょう。

RPAの導入に向けた「推進体制」について
RPAを実際に導入する場合、導入規模や導入範囲が大きくなることから全体的な計画を立てる必要があります。
RPAの全体計画を大きく分けた場合、「推進体制」、「導入範囲や順番の決定」、「スケジュール」となります。始めに「推進体制」についてみていくことにしましょう。
RPAの導入に向けた社内体制を構築する場合、IT部門のシステム構築を主な業務とする情報システム部などが主導となるように思われます。
しかし、実際には、情報システム部はITに関連した技術的な業務がメインであるため、社内にRPAを導入して普及させていくためには、情報システム部以外の部署が主導となって組織を運営していく必要があります。
IT系の技術を新たに導入する部署として、最近良くみられる部署としては、「デジタル企画部」や「デジタル推進部」などがあります。
これらの部署は、RPAのように新たなIT技術を導入する場合に、各部署に内容を通知したり、各部署と連携をとったりして、新たな技術を導入する際に主導的な立場をとります。
なお、RPAの導入において必要となる技術的なノウハウについては、情報システム部と連携しながら、RPAの円滑な導入を目指します。
RPAを導入する範囲と、導入の順番を決めておく
RPAを導入する場合にあらかじめ決めておきたいことは、「導入範囲」です。
例えば、部署単位でRPAを導入するのか、それとも全社的なRPAの導入を目指すのか、ということがあげられます。
全社的なRPAの導入を目指す場合、一度にRPAを導入することは困難であることから、部署単位で部分的に導入を始めることが一般的となります。
その場合、どの部署からRPAを導入するか、というようにRPAを導入する順番を決めておく必要があります。
一般的には、比較的単純で定型的な業務からRPAを導入します。単純な作業をRPAに処理させることで、仮に不具合が発生したとしても、修正作業を比較的簡単に行うことができるためです。
簡単な作業からRPAを導入し、問題がみられなければ徐々に複雑な業務をRPAに任せていきます。このように、徐々にRPAの導入範囲を広げていくことで、最終的に全社的なRPAの導入が実現します。
RPAの導入においては、スケジュールに余裕を
そして、RPAを導入し、実際の利用に踏み切るためには、計画から導入、実際の運用開始に至るまでのスケジュールを設定しておく必要があります。
RPAの導入を計画した時点から実際に運用されるまでの期間は、RPAの導入範囲にもよります。
RPAテクノロジーズのサイトによると、9か月程度を見込んでいますが、@ITのサイトによると、中期的には2年から3年、長期的な場合は5年前後、あるいは5年を超えることがあるとしています。
RPAの導入計画から運用開始に至るまで、特に時間を要するのがRPAの導入部分です。なぜなら、RPAの導入において不具合が発生した場合は、修正作業を行う必要があるためです。
また、不具合の修正作業を行うだけでなく、実際にRPAを運用して効率化の度合いを検証し、さらなる効率化が可能と見込めれば、必要に応じて修正作業を行います。
RPAは、運用と検証を繰り返しながら、より優れた内容に修正・更新することができますが、この一連の作業が行われることにより、実際の運用開始までは時間を要することが多いのです。
企業の中には、RPAを導入するかどうか決めかねてしまい、知らず知らずのうちに時間が経過することがあるかもしれません。
しかし、RPAは実際の運用まで時間がかかることから、自社が抱える問題を早めに解決したいなら、早期のRPA導入を検討したいところです。
(画像は写真ACより)