RPAの認識方式には複数の方法がある
前回までは、RPAが画面の内容を認識する方式として「対象オブジェクト認識方式」と「文字イメージ認識方式」を紹介してきました。
これらの認識方式を活用することによって、RPAは画面の内容を認識することが可能となりますが、上記以外の認識方式としては「相対位置による簡易認識方式」があります。この方式の特徴や使用方法について詳しく調べていきましょう。

相対位置による簡易認識方式とは?
相対位置による簡易認識方式について簡潔に説明すると、デスクトップの画面内の位置関係を相対的にとらえた上で認識する方式となります。
それでは、デスクトップ画面の位置関係はどのようにすれば相対的にとらえられるのでしょうか。その方法としては、デスクトップ画面内において座標を用いることがあげられます。
座標とは、平面上や直線上において、ある一点を示すための数値のことです。例えば、平面上におけるある一点は、縦の座標軸と横の座標軸を引き、両方の軸が交差した場所で示されます。
また、デスクトップ上において画面の位置関係を示すためには「ピクセル」という単位が使われます。画面上の左上の点を基準として、縦軸のピクセルの数値と横軸のピクセルの数値を指定すれば、画面上の点の位置を明確にできます。
相対位置による簡易認識方式のメリットは?
相対位置による簡易認識方式のメリットとしては、指定の方法がシンプルな点があげられます。
対象オブジェクト認識方式の場合は、HTMLやCSSの言語を分析する必要があること、また、文字イメージ認識方式の場合は、文字や画像を認識する必要があることから、いずれの認識方式も高度な認識方法と言えます。
その点、相対位置による簡易認識方式の場合は、複雑な認識方法を必要とせず、画面上の座標を指定するだけで画像の認識ができます。このことから、上記の2種類の認識方式と比較するとシンプルな内容であることが分かるでしょう。
また、相対位置による簡易認識方式はシンプルな方式であることから、作業をスピーディーに処理しやすくなるメリットがあります。そのほか、シンプルであるがゆえに様々なソフトにおいて使える点もメリットと言えるでしょう。
相対位置による簡易認識方式のデメリットは?
ここまで、メリットについてみてきましたが、相対位置による簡易認識方式を利用する場合にデメリットはあるのでしょうか。
デメリットとしては、デスクトップの画面が普段と異なった場合に正しく認識されない場合がある点です。その理由は、この方式が画面の座標に依存する認識方式であるためです。
画面が異なる要因について具体的に説明すると、画面の解像度が異なる場合や画面のレイアウトが変更となった場合などがあげられます。
画面の解像度やレイアウトが異なると、画像を解析する場合に座標によって指定した点の位置がずれてしまうこととなってしまいます。そのために、RPAが正しく認識できなくなってしまうことがあるのです。
毎回同じ解像度の画面を使用する場合や、同じレイアウトのもとで作業を行う場合には問題がありませんが、RPAが認識する画像が普段と異なる条件である場合には、相対位置による簡易認識方式を利用せず、他の認識方式を利用すると良いでしょう。
相対位置による簡易認識方式は、座標によって位置を指定する仕組みであり、シンプルな点がメリットですが、座標によって指定した位置がずれた場合に認識できなくなるということがあります。
RPAが画面を認識する方式は複数あることから、それぞれの方式を適切に取り入れながら、業務を円滑に進めていきましょう。
(画像は写真ACより)