素朴な疑問!RPAの導入によって人間の雇用は奪われる?

RPA導入で効率化するも、雇用の不安定さが懸念に

RPAが導入されることによって、業務の自動化や効率化が期待できます。効率化の進展はメリットではありますが、業務の多くをロボットが処理することによって人員整理が行われる可能性もあり、雇用が不安定になることも十分に考えられます。

RPAの導入が進むにつれて、実際に人間の雇用は奪われてしまうのでしょうか。

「RPAをいかに活用するか」が重要なポイント

経済産業省が2016年4月に発表した「『新産業ビジョン』~第4次産業革命をリードする日本の戦略~」においては、2015年から2030年にかけての15年間で、人間が機械やソフトウェアと競争する場合と、人間が機械やソフトウェアと共存する場合の従業者数の変化をまとめています。

それによると、人間が機械やソフトウェアと競争する社会となった場合、従業者数は15年間で735万人減少するとされています。

その一方で、人間が機械やソフトウェアと共存する社会となった場合、15年間における従業者数の減少は161万人にとどまるとのことです。

参考:経済産業省 「新産業ビジョン」
http://www.meti.go.jp/

人間が、機械やソフトウェアと競争するか、あるいは共存するかで予測が大きく異なりますが、その理由としてあげられることは、「機械やソフトウェアの導入を機に、人間が創造性の高い業務に取り組むかどうか」ということがあげられます。

そもそも、RPAを導入する目的は「これまで人間が行っていたルーチンワークをRPAに移行し、人間は創造性の高い業務に特化する」という点です。

創造性の高い業務を行うことにより、付加価値の高い商品やサービスを生み出すが可能となるため、他社と比較した場合に差別化につながります。このことこそが、RPA導入の根本的なことと言えるでしょう。

RPAの導入によってなくなる業務とは?

RPAの導入は効率化につながるために、場合によっては業務がなくなってしまうことがありますが、その反面、新たな雇用が生まれる場合もあります。はじめに、業務がなくなるケースについてみていくことにしましょう。

RPAの導入によってなくなる業務とは、データ入力の業務や経理の業務などがあげられます。これらの業務に共通することは、定型的な業務であることです。

RPAは、人間が定めたルールに基づいて業務を処理する仕組みであることから、定型的な業務はRPAの得意とするところです。そのため、RPAの導入によって定型的な業務はRPAが処理するようになると予測されます。

そのほか、RPAを活用することにより、コールセンター業務の人員を削減することが可能となります。

コールセンター業務では専門的な内容に対する受け答えを行わなければならないため、高い専門知識を有する担当者を多く配置する必要があります。

しかし、RPAが商品やサービスに関する内容を熟知することにより、RPAがコールセンターの担当者をフォローする形となるため、少人数でのコールセンター運営が可能となるのです。

RPAの導入によって新たに生まれる雇用とは?

次に、RPAの導入によって生まれる新たな雇用についてみていくことにしましょう。

RPAを導入する理由としては、人間をルーチンワークから解放し、より創造的な業務を行えるようにすることですが、見方を変えれば、RPAの導入によって創造的な業務での雇用が増加することになります。

例えば、研究開発や商品企画などは、人間だからこそ行える業務と言えるでしょう。RPAの導入で研究開発や商品企画が熱心に行われるようになると、これらの部署では人員が増加することも考えられます。

また、RPAの導入により、IT系の雇用増も見込めます。RPAを導入したいと考える企業が増えるほどRPAの需要は増加しますが、それに伴ってRPAのサービスを提供する人員が必要となるため、新たな雇用が生まれやすくなるのです。

現在は、RPAの導入が進むほど雇用が減少する、という懸念がみられる状況ですが、毎日の業務において大切なことは、創造性を重視することではないでしょうか。

創造性は人間ならではのものであり、創造性を重視するほど新たな業務や産業が発生しやすくなることから、社会の活性化につながることが期待されます。

(画像は写真ACより)