今後は、AIを搭載したRPAが実現か
事務的な作業を自動的に処理する「RPA」は、一見すると「AI(人工知能)」と似ているように感じられますが、RPAは一定のルールに基づいて自動処理を行うだけであるため、自ら学習する能力を有するAIとは異なります。
しかしながら、今後のRPAの進展により、AIを活用したRPAの登場が見込まれています。それに伴い、RPAがAIの発展と普及に貢献することが期待されているのです。

現時点では、RPAのルールは人間が決めている
RPAは、事務的な作業を自動的に処理することから、まるでRPAにAIが導入されているかのように感じられますが、現状では、RPAが作動するためのルールを人間が作成しています。
例えば、売掛金の入金業務を自動化する場合、入金の消し込み作業や入金の仕訳処理のほか、必要に応じ、入金していない取引先に対する催促のメール送付といった作業が自動化されます。
この一連の業務の自動化については、「売掛金の入金業務を自動的に処理できるようにしたい」という人間の考え方が原点となっています。
見方を変えれば、人間が主体となって一連の業務の自動化が進められているのであり、RPAが自主的に判断して自動化を進めているわけではありません。
そのため、現時点では、RPAの作動においては人間が主体であり、RPAはあくまでも人間が作成したルールに基づいて処理するにとどまっているのです。
段階を経て、今後はRPAが進展へ
現状のRPAの段階を第一段階とすれば、今後、RPAは第二段階、第三段階へと進展していくことが見込まれています。
第二段階のRPAは「EPA」と呼ばれています。EPAとは「自動化がより一層強化される」という意味合いを持つ「Enhanced Process Automation」の頭文字をとったものですが、具体的には、RPAが自動的にあらゆるデータを収集するだけでなく、データの分析までが自動化されます。
第一段階では、あくまでも単純な作業の自動化にとどまっていましたが、第二段階では、簡単な範囲ではあるものの、「分析」という考える作業が行われるようになります。
さらに、第三段階のRPAは「CA」と呼ばれます。CAとは、「認識した上で自動化すること」を意味する「Cognitive Automation」の頭文字をとったものですが、具体的には、大量のデータを収集した上で学習を重ね、最良の判断を下すことが業務範囲となっています。
第三段階においては、いわゆるビッグデータをベースにして判断を下すことから、人間の能力を超えたレベルの業務が行われることになります。この段階では、RPAにAIが活用された状態と言えるでしょう。
RPAがAIの発展と普及に貢献
ここまで、RPAの今後の進展についてみてきましたが、RPAが進展するほど、AIが活用されることが理解できたのではないでしょうか。
逆の見方をすれば、RPAが今後進展していくほど、AIの発展と普及が進むことも考えられます。
AIはさまざまな分野で活用され、飛躍的な進化を遂げていますが、RPAの分野においてもAIが活用されるようになれば、RPAの処理能力が格段に向上することが期待されます。
RPAは、人手不足対策や「働き方改革」の実現に向けて導入されていますが、今後、さらなる労働力人口の減少が見込まれていることから、処理能力の高いRPAが脚光を浴びることが予測されます。
現在は、日本の人口が減少局面を迎えている状況ですが、むしろ、その状況はRPAやAIの普及においては追い風が吹いている状況とも言えます。RPAの効率化を追求することは、第四次産業革命の一翼を担う「AI」の発展に大きく貢献するのではないでしょうか。
(画像は写真ACより)