事務作業が効率化されるRPA 現状の市場規模と今後の予測値は?

導入企業の増加が見込まれる「RPA」

「RPA」とは、事務的な業務を自動化する技術のことで、導入することにより業務の効率化が期待されます。

現状、RPAを導入する企業は少数にとどまっているものの、業務の効率化により、コストの削減が見込まれることもあり、今後、RPAを導入する企業は増加していくとみられます。

現状のRPAの市場規模と、今後の市場予測について調べていくことにしましょう。

日本国内で、RPAはどの程度普及している?

はじめに、日本国内におけるRPAの普及状況についてみていきます。

ICTアドバイザリーおよびIT分野の調査を実施するガートナー ジャパンは、2017年10月に「RPAに関する調査」の結果を発表しました。

参考:ガートナー ジャパン RPAに関する調査
https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20171012-01.html

同調査は2017年5月に実施されたものですが、それによると、「導入済み」と回答した企業は全体の約14%で、およそ7社に1社の割合にとどまっています。

しかしながら、「導入中」と「1年以内に導入予定」を含めると、全体の約25%となり、比較的短期間のうちにRPAの普及が進む様子がうかがえます。

また、日経BP社が運営している技術系デジタルメディアの「日経×TECH」は、RPAを導入する国内の企業は、2018年に5000社を突破すると予測しています。

RPAは、今後の労働人口減少に対する切り札とも言えることから、ここ数年のうちに、広く普及していくことが見込まれます。

日本国内のRPAの市場規模はどれくらい?

それでは、日本国内のRPAの市場規模についてみていくことにしましょう。

IT業界の市場調査を手がけている株式会社アイ・ティー・アール(以下ITR)は2017年10月、「国内の市場規模推移および予測」を発表しました。

参考:ITR 国内のRPA市場規模推移および予測
https://www.itr.co.jp/company/press/1710050102PR.html

それによると、2016年度におけるRPAの市場規模は8億円で、前年比4倍と大幅な増加を記録しました。また、調査の実施時点において、2017年度の市場規模予測は20億円、2018年度は44億円で、引き続き、前年比で約2倍の増加が見込まれています。

さらに、2021年度の市場規模は約82億円と見込まれており、2016年度と比較すると市場規模は約10倍に拡大する見通しです。

ITRによると、RPAは2010年代半ばから導入が進み始めたものの、金融業や保険業など、一部業界での導入にとどまっていたとのことです。

しかし、近年はRPAに関する製品の幅が広がったこと、さらに労働力人口の減少と働き方改革がRPAの普及を後押しした形となり、2017年からは、幅広い業種においてRPAが導入されるようになりました。

ITRは、RPAを先行導入した企業においてその成果が発揮されれば、今後、より多くの企業がRPAを導入するものと見込んでいます。

世界のRPAの市場規模はどれくらい?

次に、世界のRPAの市場規模についてみていくことにしましょう。アメリカの調査会社「HfSリサーチ」は2017年6月、世界のRPA市場に関する調査結果を発表しました。

参考:Horses for Sources 
Global Robotic Process Automation (RPA) Market, 2016-2021
https://www.horsesforsources.com/RPA-marketsize-HfS_061017

それによると、2016年の市場規模は2億7100万ドル(約295億円)となりました。また、調査の発表時点において、2017年の市場規模は4億4300万ドル(約483億円)、2018年には6億2900万ドル(約685億円)と予測されました。

さらに、2021年の市場規模は12億2400万ドル(約1334億円)と見込まれ、2016年の実績と比較すると、市場規模は4倍以上に成長すると予想されています。

RPAは、ホワイトカラー業務の効率化が魅力ですが、その魅力は日本国内にとどまらず、世界共通のものであると言えそうです。

事務的な作業は、見方を変えれば労働集約的な作業と言えますが、RPAの導入により、効率化が達成されるだけでなく、ミスのない確実な作業が行われることがメリットです。その利便性は、RPAの市場規模を着実に拡大していくことでしょう。

(画像は写真ACより)